産科医療補償制度のQ&A

制度全般

Q1.本制度はどのような目的で設立されたのですか。
A

分娩時の医療事故では、過失の有無の判断が困難な場合が多く、裁判で争われる傾向があり、このような紛争が多いことが産科医不足の理由の一つになっています。
そこで、本制度では、分娩により重度の脳性麻痺となった児およびその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、脳性麻痺の原因分析を行い、再発防止策を講ずることにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ることを目的としています。

Q2.脳性麻痺とはどのような症状なのですか。
A

胎児のときから生後1ヶ月までに起きた脳障害の後遺症で、運動発達や姿勢に異常を起こす病気です。

Q3.本制度の対象となる分娩はいつからですか。
A

基本的には、2009年1月1日以降に生まれた赤ちゃんが対象となります。分娩機関によっては補償開始の時期が異なることがありますので、分娩機関にご確認ください。

Q4.制度発足前に、脳性麻痺である子供については、制度発足後に、補償金が給付されますか。
A

補償の対象者は、本制度発足後である2009年1月1日以降に生まれた赤ちゃんとなるため、残念ながら給付されません。

Q5.分娩機関がこの制度に加入しているかどうかは、どうやって確認できますか。
A

このホームページの「加入分娩機関」で確認することができます。また加入分娩機関は、施設内に「産科医療補償制度加入証」を掲示しています。

Q6.里帰り分娩の場合、誰が補償主体となりますか。
A

実際に分娩を取り扱う分娩機関が補償契約の主体となります。

Q7.標準補償約款第三条第一項に規定される「当院の管理下における分娩」とは、どのような分娩ですか。
A

管理下とは、分娩機関が自らの医学的管理の下に分娩を取り扱った場合を指し、複数の分娩機関が管理する場合は、基本的に(分娩取扱いの対価である)分娩料を徴収する分娩機関の管理下にあるものとして補償されるものと考えられます。
自宅や緊急搬送中の分娩等については、関与する分娩機関、娩出時の状況等に従い、児の不利益とならないよう、個別に検討を行って決定する必要があります。
なお、個々のケースについては、分娩機関における医療行為等が分娩管理に該当するか否か、基本的には分娩機関でご判断いただくこととなります。

Q8.妊産婦の意向にかかわらず、全ての分娩が本制度の対象となるのですか。(飛び込み分娩や定期検診未受診、分娩費未払いの分娩も含まれるのですか。)
A

本制度では、妊産婦の意向を問わず22週以降の分娩を制度の対象としています。従いまして、飛び込み出産や定期健診未受診、分娩費未払いの分娩も制度の対象となります。

Q9.妊産婦死亡についても補償されますか。また、脳性麻痺以外の障害は補償されますか。
A

本制度の対象は重度の脳性麻痺となった児となります。妊産婦死亡や脳性麻痺以外の障害については、本制度による補償の対象ではありません。

Q10.本制度の掛金は誰が支払うのですか。
A

分娩機関が支払います。これに伴い、本制度加入分娩機関における分娩費用の上昇が見込まれることから、2009年1月1日以降、加入分娩機関における在胎週数22週以降の分娩(死産を含みます)について、出産育児一時金等の引上げが行われています。

Q11.なぜ制度の内容について見直しを行うことになったのですか。
A

本制度は2009年1月に発足したものですが、早期に創設するために限られたデータをもとに設計されたことなどから、遅くとも5年後を目処に制度内容について検証し、適宜必要な見直しを行うこととされていました。このため、2012年2月より、原因分析や調整のあり方等の課題から順次見直しの議論が行われ、2014年1月よりこれらに関する見直しを実施しました。また、2015年1月より補償対象となる脳性麻痺の基準、掛金等について見直しを実施しました。
 その後、2018年7月に開催された運営委員会において、補償対象基準については、「個別審査では約50%が補償対象外となっている」「同じような病態でも補償対象と対象外に分かれることがあり不公平感が生じている」「医学的に不合理な点があり、周産期医療の現場の実態に即していない」等の課題が指摘され、運営委員会委員長より「補償対象基準の見直しに関する要望書」が厚生労働省に提出されました。
 こうした状況を受け、厚生労働省より、事務連絡「産科医療補償制度の見直しに関する検討について」(令和2年2月4日厚生労働省医政局総務課医療安全推進室・保険局保険課事務連絡)が発出されました。
 この事務連絡の中で、先ずは、評価機構において医療関係団体、患者団体、保険者等の関係者の意見を聴取し、制度のあり方に関する検討を進め、その結果を報告することが求められたことから、医療関係団体、患者団体、保険者等の関係者からなる「産科医療補償制度の見直しに関する検討会」を設置しました。
 2020年9月から4回にわたり制度の運用方法、補償対象者数の推計、保険料の水準、掛金、補償対象基準、財源のあり方、補償水準等について検証・検討を行い、「産科医療補償制度の見直しに関する報告書」を取りまとめ、同年12月4日に厚生労働省に提出しました。
 2020年12月に開催された厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会において見直しの議論が行われ、産科医療補償制度の補償対象範囲は、「補償対象基準」「除外基準」「重症度基準」のすべてを満たす場合、補償対象となるが、2022年1月以降に出生した児より、「補償対象基準」については、低酸素状況を要件としている個別審査を廃止し、一般審査に統合して、「在胎週数が28週以上であること。」が基準となり、また1分娩あたりの掛金は1.2万円となることが了承されました。

Q12.見直し後の新しい基準や掛金はいつから適用されるのですか。
A

2015年改定制度については、2015年1月1日から2021年12月31日までに出生したお子様に適用されます。
2022年改定制度については、2022年1月1日以降に出生したお子様に適用されます。

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