再発防止について
再発防止の目的
個々の事例情報を体系的に整理・蓄積し、複数の事例の分析から見えてきた知見などによる再発防止策等を提言した「再発防止に関する報告書」などを取りまとめます。これらの情報を国民や分娩機関、関係学会・団体、行政機関等に提供することにより、同じような事例の再発防止および産科医療の質の向上を図ります。
産科医療関係者がこのような情報をもとに再発防止および産科医療の質の向上に取り組むことで、国民の産科医療への信頼が高まることにつながります。
分析対象
分析対象は、原因分析委員会において取りまとめ、お子様・保護者および分娩機関に送付した原因分析報告書等の情報です。
分析の方法
原因分析報告書等の情報をもとに、再発防止の視点で必要な情報を整理します。これらに基づいて、「テーマに沿った分析」を行います。また、「産科医療の質の向上への取組みの動向」を把握します。
【テーマに沿った分析】
- (1)
- 基本的な考え方
「テーマに沿った分析」は、集積された複数の事例から見えてきた知見などを中心に、深く分析することが必要なテーマを選定し、そのテーマに沿って分析を行うことにより再発防止策等を取りまとめるものです。テーマは、脳性麻痺発症の防止が可能と考えられるものを中心に選定します。一方、脳性麻痺発症の防止に直接つながらないものであっても、産科医療の質の向上を図る上で重要なものについてはテーマとして選定します。また、テーマは、一般性・普遍性、発生頻度、妊産婦・児への影響、防止可能性、教訓性等の観点から選定します。 - (2)
- 「テーマに沿った分析」の視点
「テーマに沿った分析」は、以下の4つの視点を踏まえて行います。- ①
- 集積された事例を通して分析を行う視点
個々の事例について分析された原因分析報告書では明らかにならなかった知見を、集積された事例を通して「テーマに沿った分析」を行うことで明らかにします。また、同じような事例の再発防止および産科医療の質の向上を図るため、診療行為に関すること以外にも情報伝達や診療体制に関することなど、様々な角度から分析して共通的な因子を明らかにします。 - ②
- 実施可能な視点
現在の産科医療の状況の中で、多くの産科医療関係者や関係学会・団体において実施可能なことを提言し、再発防止および産科医療の質の向上に着実に取り組むようにします。 - ③
- 積極的に取り組まれる視点
多くの産科医療関係者が、提供された再発防止に関する情報を産科医療に積極的に活用して、再発防止に取り組むことが重要です。したがって、「明日、自分たちの分娩機関でも起こるかもしれない」と思えるテーマを取り上げます。 - ④
- 妊産婦や病院運営者等においても活用される視点
再発防止および産科医療の質の向上を図るためには、産科医療に直接携わる者だけでなく、妊産婦や病院運営者等も再発防止に関心を持って、共に取り組むことが重要です。したがって、妊産婦や病院運営者等も認識することが重要である情報など、産科医療関係者以外にも活用されるテーマも取り上げます。
【産科医療の質の向上への取組みの動向】
- 「再発防止委員会からの提言」が産科医療関係者にどのように活かされているか、その動向を把握するため、一定の条件のもとに、テーマを定め出生年毎の年次推移を示すこととしています。
公表の方法およびデータの活用
産科医療関係者、国民および行政機関など広く社会に対して情報提供を行うため、再発防止に関する報告書や再発防止委員会からの提言(リーフレット・ポスター)などを公表し、分娩機関、関係学会・団体、行政機関等に配付するとともにこれらを当ホームページに掲載します。
- また、本制度の補償申請および原因分析において提出された診療録・助産録、検査データ等の情報のうち妊娠・分娩経過および新生児の経過等をデータベース化したものを、分娩機関が特定されるような情報や特定の個人を識別できる情報等の取り扱いに十分留意の上、「当機構が産科医療の質の向上に資すると考える研究目的での利用」のための利用申請があり、当機構内に設置した研究倫理審査委員会において審査を行い、当機構が開示を妥当と判断した場合に、当該利用申請者にのみ開示します。
利用申請者に対しては、開示したデータの目的外利用の禁止や厳正な管理等について誓約書を提出いただくなど厳格な取り扱いを求めます。なお、分娩機関または保護者からデータの開示に協力できない旨の申し出があった場合には、当該事例は開示対象から除外します。