脳性麻痺に関する産科医療補償制度の補償申請について

脳性麻痺の定義に関する参考事例

  掲載している参考事例と同じ診断名や病態等である事例でも、個別の事例の状況により審査結果が異なる場合がございますので、ご留意ください。

(1)進行性疾患による運動障害

【参考事例 — 1】

在胎週数40週、出生体重2400g。新生児仮死なく経腟分娩で出生し、日齢5に退院した。運動発達の遅れなど異常の指摘はなく経過していたが、生後6ヶ月頃より体重増加不良を認め、獲得していた頚定や寝返りが不可能となった。重度知的障害、嚥下障害を合併していた。頭部画像検査では、生後11ヶ月時に大脳基底核に両側対称性の局所性病変を認め、その後に進行性の脳萎縮を認めた。
妊娠・分娩や生後の経過、臨床所見、頭部画像検査等から総合的にみると、運動発達の退行を認めていることから進行性の病態を呈しており、運動障害の主な原因は進行性疾患に基づくものであると判断され、本制度の定める脳性麻痺の定義に合致しないと判定された。

ポイント!

進行性疾患が運動障害の主な原因であると判断された場合は、本制度の定める「脳性麻痺」の定義に合致しないため、補償対象外となります。
審査委員会では、ご提出いただいた専用診断書や診療録等の情報をもとに、出生時から診断時までの経過、実施された各種検査結果、神経学的所見や動作・活動所見などから総合的に判断しています。


(2)新生児期を過ぎて生じた脳障害

【参考事例 — 2】

在胎週数40週、出生体重3100g。予定帝王切開で仮死なく出生し、日齢8に退院した。退院後も体重増加良好で順調に経過していた。1ヶ月健診でも異常の指摘なく、体重増加良好で、順調に経過していた。生後3ヶ月に発熱と哺乳不良を認め受診し、精査加療のため入院した。入院直後の頭部画像検査では陳旧性変化はなく脳浮腫を認め、急性期の所見であると判断された。髄液からウイルスが検出され、そのウイルスによる脳炎と診断された。
妊娠・分娩や生後の経過、臨床所見、頭部画像検査等から総合的にみると、重度の運動障害の主な原因は、新生児期(生後4週間)を過ぎて生じたウイルス性脳炎による脳障害であることが明らかであると判断され、本制度の定める脳性麻痺の定義に合致しないと判定された。

ポイント!

本制度では「脳性麻痺」とは、受胎から新生児期(生後4週間)までの間に生じた脳障害に基づく運動障害としています。したがって、新生児期を過ぎて生じた脳障害に基づく運動障害であることが明らかであると判断される場合は、本制度の定める「脳性麻痺」の定義に合致しないため、補償対象外となります。
審査委員会では、提出された専用診断書や頭部画像検査、診療録等をもとに総合的に判断しています。


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