脳性麻痺に関する産科医療補償制度の補償申請について

除外基準(新生児期の要因)に関する参考事例

(1)新生児期に感染症

【参考事例 — 1】

在胎週数38週、出生体重2700g。妊娠後期の腟分泌物培養検査でB群溶血性レンサ球菌(GBS)が検出された。経腟分娩で出生し、問題なく経過し、日齢5に退院した。日齢11に髄膜炎を発症し、髄液検査でGBS陽性と判明した。
GBS感染による髄膜炎は、垂直感染の可能性が高く、分娩とは無関係に発症したことが明らかではないため、除外基準には該当しないと判定された。

【参考事例 — 2】

在胎週数39週、出生体重2700g。胎児機能不全のため緊急帝王切開で出生した。けいれんが群発したため、日齢1に髄液検査が実施された。単純ヘルペスウイルスⅠ型が検出され、ヘルペス脳炎と診断された。また、産褥9日の母体の血液検査ではヘルペスウイルスが検出された。
ヘルペス感染による脳炎は、垂直感染の可能性が高く、分娩とは無関係に発症したことが明らかでないため、除外基準には該当しないと判定された。

ポイント!

新生児期に発症した感染症は、発症までの期間や母体感染の有無等から総合的に判断し、分娩とは無関係に発症した感染症により脳障害が生じたことが明らかであり、かつ、その脳障害が重度の運動障害の主な原因であることが明らかな場合は、除外基準に該当します。


(2)新生児期に呼吸停止

【参考事例 — 3】

在胎週数39週、出生体重3200g。新生児仮死は認めなかった。早期新生児期に呼吸停止が発生した。頭部画像検査では大脳基底核・視床に信号異常を認めた。
妊娠・分娩や生後の経過、臨床所見、頭部画像検査等から総合的にみると、分娩とは無関係に生じた呼吸停止であることが明らかではないため、除外基準に該当しないと判定された。

【参考事例 — 4】

在胎週数40週、出生体重3100g。新生児仮死は認めず、日齢4に退院した。その後に黄疸症状悪化し、日齢21に光線療法目的のため入院した。入院時は全身状態良好であったが、日齢22に呼吸停止が発生した。頭部画像所見では大脳基底核・視床に信号異常および深部白質の信号異常を認めた。
妊娠・分娩や生後の経過、臨床所見、頭部画像検査等から総合的にみると、分娩とは無関係に生じた呼吸停止により脳障害が生じたことが明らかであり、かつ、重度の運動障害の主な原因であることが明らかであるとされ、除外基準に該当すると判定された。

ポイント!

妊娠・分娩や生後の経過、臨床所見、頭部画像検査等から総合的に判断し、分娩後に、分娩とは無関係に生じた呼吸停止により脳障害が生じたことが明らかであり、かつ、その脳障害が重度の運動障害の主な原因であることが明らかである場合は、除外基準に該当します。
一方、分娩後に呼吸停止が発生するまでの時間や新生児期の経過等から、呼吸停止が分娩とは無関係に生じたことが明らかでない場合は、除外基準には該当しません。


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